第2回 「MOD」って何?


週末ゲーミングライフ第2回はMOD文化の象徴として「Counter-Strike」ご紹介する。
MODとは「Modification」の略称でゲームをオリジナルからまったく変えてしまうこともできる楽しみ方だ。
「Counter-Strike」は2000年前後にValve社のSF世界をモチーフにしたFPSゲーム「Half-Life」MODの一つとしてユーザーコミュニティから生まれた。本作は、ミリタリー系をモチーフにした対戦特化型FPSの定番タイトルとして全世界にまたたく間に広まりMOD文化の象徴ともいえる存在となった。

MOD文化の象徴、「Counter-Strike」とは?

「Counter-Strike」はテロリスト対カウンターテロリストという構図でラウンド制によって勝敗が争われていく。より早く敵をみつけてより早く倒すというプレイのうまさだけではなく、ラウンドの結果によって支給される資金を使って武器や防具を購入していく戦略性の奥深さから絶大な人気を得るまでになった。

多人数による対戦型FPSのディファクトスタンダードとしてe-Sports大会をはじめ、その後も様々な類似作品を生むことになった。本作は絶大な人気をバックボーンにタイトル開発元のValveがその権利を買収、「Counter-Strike」(カウンターストライク)という1ゲームタイトルとしてスタンドアロンでリリースされるに至り伝説的な作品に成長した。

 いまや開発会社側が積極的にユーザーにゲームのコンバージョンを楽しめるインフラを提供されるようになって、単にプレイだけではない楽しみ方がそこにある。そんなMODの文化についてお話したい。

プロ顔負けのゲームづくりにチャレンジしてみよう!

ユーザーにゲーム以外にもツールを提供して様々な切り口で遊んでもらうというスタイルは「Counter-Strike」の人気を背景にValve社が2005年にリリースした「Half-Life2」と「Counte-Strike:Source」にてさらに昇華することになる。
Half-Life2
Counte-Strike:Source

「Half-Life2」では革新的な物理エンジンとともに美しいグラフィックが衝撃的な作品だった。驚くべきはこのときValveは「Source SDK」と呼ばれる、「Source engine」を開発するためのソフトウェアパックを付属し、ゲームづくりの基幹となるべき部分を購入者に無料提供したのだ。太っ腹というより大丈夫なのかと耳を疑ったが、プレーヤーに限らずゲームを作ってみたいと思っているユーザーにとっても非常に嬉しいニュースとなった。

このおかげで高額な開発機材をユーザーはゲームのオマケとして手にすることができたのだ。実際「Counter-Strike:Source」をインストールしているユーザーは「Steam」の「ツール」のタブをクリックするとSource SDKを起動することができる。レベルエディットのできる「Hammer」やキャラクタのデザインができる「Face Poser」といったソフトを駆使して1からまったく雰囲気の異なるゲームを作ることも可能だ。

MODを許容するゲームタイトルは非常に多いので、是非チャレンジしてほしい。もっとも大がかりな開発ツールでなくてもカスタムレベル(カスタムマップ)は現行で販売されている多くの洋モノFPSゲームタイトルで使用できるようになっているし、プログラミングが苦手なMOD制作者のためにユーザーが開発したエディターも公開されているケースも多いので、自分が普段遊んでいる作品でこうしたことができないか探してみるといいかもしれない。

ゲームエンジンを軸にした遊び手=開発者という発想

こうした仕組みをValveが設けたのはユーザーコミュニティの価値を重視したからだ。最初にリリースしたタイトルで「お手本」を見せ、道具を供給し、ユーザーがそれを活かすスキームを作る。そこで生まれた優秀な作品や制作にかかわったユーザーをそのまま開発チームに招いても使っているツールが同じものなので即戦力としてすぐに活躍できる。

2005年末に来日したValve社のデザイナー ロビン・ウォーカー氏ももともとは「Quake」のMOD「TeamFortress」の制作者であり、北米を中心にコミュニティから開発者を迎え入れるというケースは多い。

人的リソースという点で考えると基礎的なプログラミングよりはエディットに優れた人材が多くなってしまうのは事実であるが、ゲーム開発会社への貴重なキャリアパスの1つになっていることは事実であり、コミュニティとのキャッチボールが結実した好例だろう。

2008年現在でもコミュニティが生んだコンテンツを商用化するという事例はあり、例えば現在韓国で開発中のオンラインFPS版の「Counter-Strike」である「Counter-Strike Online」では、モードに「CS:Source」で人気の高いZombieと戦うMODをモチーフにした「Zombieモード」が実装される。

ファン投票で選ばれたという本モードは、既存で公開されている「Half-Life2」に登場したゾンビと「CS:Source」に出てくるカウンターテロリストと戦うMODを「CS Online」向けにブラッシュアップして公開される。CSユーザーには嬉しいニュースだ。

日本におけるMODコミュニティ「C-SEC」

日本語でのモッディング情報は「C-SEC(カウンターストライク・エンジニアリング・センター)」が詳しい。2006年に行われたLANゲームパーティー「BIGLAN socket2」ではSakugetu氏とnpc_neko氏が、3日間の会期中にBiglan会場をモチーフにしたカスタムマップを作成した。

2006年「BIGLAN socket2」

今回紹介した「SourceSDK」の使用方法も載っているので興味のある方はチェックしてみるとよいだろう。実際起動してみても最初は目が点になってしまう場合がほとんどだと思うが、そうした際に日本語でのコミュニケーションができる貴重な場所だ。

そして何よりMODは作って、公開して、遊んでもらい、洗練されていく。プロが作るスタンドアロンのソフトウェアと異なり、作りかけの作品を逐次公開していき、いろいろな人の意見やアドバイスを貰いながら作りこんでいけるのが最大の強みだ。気張らずに他のユーザーの作品を楽しみながら奥の深いゲームづくり体験をしてみよう。

日本のMODコミュニティ「C-SEC」
http://www.c-sec.net/

Steamって何?という方はこちらへ
http://www.steampowered.com/steamtour/?l=japanese

週末ゲーミングライフバックナンバー
第1回 FPSゲーム(ファーストパーソンシューター、エフ・ピー・エス)のルーツ

ライタープロフィール
三浦尋一

東京外国語大学で朝鮮語を専攻。2005年からインプレスDOS/Vパワーレポートでの翻訳・通訳を皮切りに執筆の世界へ。Impress GameWatchにて「韓国最新オンラインゲームレポート」連載中。米中韓のゲームショーへは毎年渡航し海外ゲーム関連記事の執筆多数。株式会社 成 取締役。日本におけるLANゲームパーティ普及に向けて日夜、活動している

著者についてのより詳しい情報はこちら