第1回 FPSゲーム(ファーストパーソンシューター、エフ・ピー・エス)のルーツ

世の中には、新しい物が最高という愚か者もいれば古いものが最高という愚か者もいる。本連載は新しいもの、古いもの関わらず(どちらかといえば古い話が多いが)隔週ペースで、有名無名のPCゲームタイトルに独自の視点でスポットを当てゲームの面白さをお伝えしていく新連載【週末ゲーミングライフ】。
メインキャスターは、FPSと戦略シミュレーションを食前食後に欠かさないという三浦尋一氏が担当。
日頃はWeb媒体を中心に東アジア方面の最新ニュース記事を執筆している氏だが、本連載ではプレイヤーとして見たゲームの奥深さや面白さに注目しユーザーをよりディープなゲームゾーンに誘うのがメインキャスターである彼の役目だ!
FPSゲームやアクションゲームを中心に比較的面白さのツボが近いものを取り上げていく予定なので、本コラムを読まれた方には、「こんな作品もあるんだ」、「やってみよう!」と思っていただければこれ幸い 大成功である。
さあ!【週末ゲーミングライフ】始まり、始まり・・・
FPSゲーム(ファーストパーソンシューター、エフ・ピー・エス)のルーツ
連載第1回目は「FPS(ファーストパーソンシューター、エフ・ピー・エス)ゲーム」のルーツをFPSゲーム人気の草分けとなった「DOOM」を紐解きお話したい。
本コラムを読まれている方は「サドンアタック」、「CRYSIS」といった比較的新しい作品からPCゲームに触れられたり、興味を持たれたりされた方が多いと思う。
本日はidSoftwareから「DOOM」を取り上げる。本作がリリースされたのは今から約15年前。今から見てグラフィックこそ見劣りするかもしれないが、アクションゲームの面白さの要素をぎゅうぎゅうに詰め込んだ黎明期のお手本のような作品だ。後々の作品に通じるバイブル的な存在としてはじめにご紹介しよう。
「FPSゲーム」というジャンルについて
まずFPSゲームというジャンルについておさらいしよう。FPSゲームとは1人称視点でのシューティングを指す。特徴となるのがプレイ画面で、画面上にはキャラクタの全身は表示されず、プレーヤーの手だけが表示されている。その手で銃や剣をとり、モンスターや敵兵をやっつける。

ゲームの中に登場するプレーヤーキャラクタの目線でゲームの世界を楽しむことのできる点で、もっともキャラクタとの一体感を得られるジャンルといえよう。特にアクション性と世界観を重視した作品や、スポーツ性を追求した作品で採用されている。
残念なことにキャラクタの容姿を常に見ているわけではないので、傍から見ている時はあまり面白く見えないのだが、プレイしてみるとあたかも自分がゲームの中にいるかのような没入感はヤミツキになってしまう。キーボードとマウスのインターフェイスの場合、マウスの上下左右方向の動作で視点の移動で、キーボードのWASD(ESDF)キーで前後左右のステップを踏む。
ゲームによって人間が現実世界で感じているよりかは幾分移動スピードが異なるため、初めて触れると「3D酔い」を起こしてしまうことも(それだけどっぷりと入り込めるのだ!)。パソコンをお持ちでまだFPSゲームをされたことのない方がいたら是非1度は触ってみてほしい。
FPSゲームが1つのゲームジャンルとして確立されたのは1992年、1993年にiD SoftwareからリリースされたPC「Wolfenstein 3D」と、「DOOM」の2作品の登場による。昨年登場した「Crysis」と比較すると革新的なグラフィックをバックボーンにした乗り物やプレイアビリティは比べるべくもないが、ゲームづくりという点で通じる点は多いと思う。
Wolfenstein 3D
Crysis
「DOOM」プレイムービー@youtube
http://jp.youtube.com/watch?v=yr-lQZzevwA
「Crysis」プレイムービー@youtube
http://jp.youtube.com/watch?v=K0oaXLq8PxQ
「DOOM」の世界観

「DOOM」はSF・ホラーを題材にしており、火星の軍事企業「UAC」で働く名もなきスペースマリーンの一兵卒が主人公となる。シングルプレイと2-4人までのCOOP(協力プレイ)、デスマッチ(対戦)をサポートしている。
シングルプレイのストーリーは筆者の周りで「あんちゃん」と呼ばれていた名も無き海兵隊員が主人公。UACが行なっていた火星の衛星である「Phobos」「Diemos」間でのテレポーテーション実験中に発生した事故調査を行うことになる。
主人公が送られた「Phobos」は、実験中に偶然開いてしまった地獄とのポータルによりモンスターからの侵略を受け、兵士たちはゾンビと化し、魔物たちが巣くうという文字通りの破滅的状況。主人公は衛星基地内の中をただ1人で脱出を目指すというのが本作の大筋だ。
雰囲気はとにかく怖い!動くものは皆的という状況で、3Dで表現された世界に突如現れるグロテスクなゾンビや悪魔たちが襲い掛かってくる。
武器はロケットランチャーやピストルといった現代武器からプラズマガンやBFG9000といった未来兵器が登場し海兵隊員の1人として資質が試される。

扉の開閉やエレベータを操作するギミックあり、秘密の隠し部屋やシークレットあり、幅広いレベル設定あり、ちょっぴりおバカなモンスターの集団をひきつけ同士討ちさせたりといったやりこみ要素が非常にうまく落としこまれている。

「DOOM3」トレーラームービー@youtube
http://jp.youtube.com/watch?v=qfolzxFachY
現代によみがえったDOOM。陰鬱な世界でモンスターと暗闘する
ゲームを遊ぶ楽しみと作る楽しみ「MOD」
MODとは「Modification」の略称で、パッケージなどで提供されたゲームデータをもとにユーザー自身の手でオリジナルのシナリオやレベルを作ったり、場合によってはほとんど異なる作品に作り替えてしまうものまで可能な、簡単な拡張パックのことを指す。
「DOOM」や「DOOM2」ではユーザーがゲームデータを改造してレベルデザインなどの改造をほどこしはじめ、(データファイルの拡張子から「DOOM WAD」と呼ばれる)マッピングなどに特化した編集ツール(エディター)がユーザーコミュニティ内で作られて、いよいよMODインターフェイスが整っていくことになる。
ゲーム自体の改変を行なう行為について様々な議論がされるものの、ユーザー自身の手で作品をより作りこめるという可能性が着目され、「Quake」など当初からユーザーにいじられることを前提とした作品が次々にリリースされていく。
「DOOM」でもマップのレベルデザインのような簡単なものから、オリジナルのサウンドを盛り込んだりグラフィックを差し替えていくような大がかりなものまで、ユーザーの手で様々に遊ばれている。
MODを用いた作品では98年から99年にかけてリリースされた「Half Life」のMOD「Counter-Strike」があまりにも有名だ。

現在では多人数対戦型のスポーツ性を伴ったミリタリー系FPSタイトルとして著名な作品だが、発表当初はあくまでユーザーコミュニティの制作によるMODの1つだった。
もともとSF系でシングルプレイが中心だった「Half Life」を世界観からルール、プレイスタイルまですべてをユーザーが新たに作り直し、コミュニティの支持のもとプレイされていた。熱狂的なプレイヤーも出現し最終的に「Counter-Strike」はメーカーの支持を受ける形でスタンドアロン版として販売・シリーズ化され、現在では、ある種の伝説となっている。
また、こうしたユーザーのMOD制作経験がソフトハウスへのキャリアパスとなるケースもあり、ユーザーを育てるだけではなく人材を育成する方法としてもソースの公開やコミュニティの育成が注目されている。
「Half-Life」プレイムービー@youtube
http://jp.youtube.com/watch?v=5sqT6TulFk4
「Counter-Strike」プレイムービー@youtube
http://jp.youtube.com/watch?v=eD2P-p5CKio
まったく異なるゲームとして変貌を遂げたことがお分かりになるかと思う
そこまでしてやりたいというプレーヤーのモチベーションとは?

現在までにFPSやRTSをはじめとするいわゆる洋ゲーがとっつきにくいと言われていた遠因にプラットフォームであるパソコンが非常に高価だったことがあげられる。
筆者は「DOOM2」で初めてFPSゲームに触れた世代だが、その当時でさえ1台数十万円もするパソコンを集めて一緒に遊んだり、或いは現在の携帯電話のパケット通信よりも細いモデム回線でとんでもない電話代にもめげず対戦を行ったりと、とにかくプレイにはソフト代金以上に莫大な手間とお金がかかった。パソコンで洋ゲーを遊んでいることそのものがステータスであり、遊び手としてとことん遊んでやろう(もうあと戻りできないぜ)という高いモチベーションがあったのだ。
筆者は「DOOM2」を発売当時から触れていたが、友達の家にあった2台のThinkPadを繋ぎ、COOPモードでシングルを2人で協力してクリアしていくということを数か月の間これでもかと繰り返した。
何より仲の良い友達と2人一緒に遊ぶというのが楽しかったことと、プレイ中に片方が途中で倒れてしまってもレベルの最初からやり直す必要がないし、片方が先に乗ったワープポータルに突入して相手を殺してしまいそのまま現実世界で取っ組み合いになったりとゲームの中だけではない楽しみが実感できたのが素晴らしかった。通信環境がないうえでの遊びだったが、当時の経験はいまだに忘れられないのはそうしたハードルを乗り越えたことがあるからだろう。
2008年現在、我々は最新のゲーマー向けPCや高速通信インフラのサービスを非常に安価に享受できるようになった。革新的な技術が盛り込まれながらも一般的なユーザーからしてみればコアユーザーのための遊び道具にすぎなかったPCゲームが、すぐ手の届くところまで落としこまれてきている。現に「DOOM」はこの文章をパソコンで見ている人の環境ならほぼ動くと思っていいだろう。
現在「DOOM」は各種ゲームのダウンロード販売を行っている「Steam」から単体でわずか9.99ドルで販売されているので興味がある方はそちらから遊んでみるとよいだろう。また、この「DOOM」の他に本コラムでご紹介した「DOOM3」、「Quake」、「Wolfenstein3D」など約20タイトルが盛り込まれたゲームパック「id Super Pack」も69.99ドルで「Steam」から購入可能だ。今後触れていくタイトルも含まれているのでこの機会に是非プレイしてみてほしい。
また、旧作をおさらいする上で「Steam」についても追ってご紹介していく予定だ。
今後本連載ではこうしたイノベイティブな試みを詰め込んだ作品を主にご紹介していくので、ゲームでの楽しい経験を豊かにする一助になればと思う。
Steamって何?と言われる方はこちらへ
http://www.steampowered.com/steamtour/?l=japanese
ライタープロフィール
三浦尋一















