第19回 サーバーを提供する

プレイトーク19

前回のプレイトークではFPSのコミュニティが果たす役割について、考察し、各プレイヤーは多様な形でコミュニティに貢献できるということを示した。
今回からは、それら様々な貢献のうち、主要なものをピックアップして具体的に解説していきたい。

今回、取り上げたいのは「サードパーティーサーバーの提供」についてである。サードパーティーサーバーとは、ゲームのユーザーが有志で公開しているゲームサーバーのことである。

海外のパッケージゲームでは、プレイヤーの遊び場となるサーバーの大半がこのサードパーティーサーバーによって支えられていることが多い。したがって、サードパーティーサーバーを提供することは、ゲームのコミュニティーに対する、多大な貢献といえる。

どんなサーバーを建てる?

サーバーを建てるにあたって、まず考えておくべきことは、どのようなスタイルのサーバーを建てるかである。
サードパーティーサーバーではマップの巡回設定やゲームの難易度、その他ゲームの設定をある程度、カスタマイズすることが可能だ。

サーバー管理者の意向次第で、標準設定のサーバーからカスタムマップサーバー、大人数が同時に遊べるいわゆる「お祭りサーバー」まで多様な設定のサーバーが存在しうるというわけである。

あなたのサーバーをどのようなスタイルで運営するかを決める際には、ぜひ以下の点に注意してみてほしい。

標準設定のサーバーは十分にあるか?

一般的に見て、最もニーズの高いサーバーはゲームの開発元が推奨する標準設定が適用されたサーバーである。標準設定はそのゲームの面白さを最も引き出すように決定されている場合が多く、公式の大会や、クラン戦をする際の設定の基準となるものである。

他のサーバーの設定を見渡してみて、標準設定のサーバーが不足していると感じたら、まずは、標準設定のサーバーを建てることをお勧めする。
特にゲーム発売直後は、標準設定のサーバーのニーズは非常に高い。

プレイヤーのレベルに応じた住み分けについて

ゲーム発売からある程度の期間が過ぎると、発売当初からプレイしているプレイヤーと新規にゲームに参入するプレイヤーとの間でスキルの格差が生じ、新規プレイヤーが従来のプレイヤーを相手にプレイするのが難しくなる場合がある。

このような場合、ビギナーサーバーやエキスパートサーバーなど、名称や難易度設定を変えたサーバーを、プレイヤーのレベルごとに用意すると、新旧両方のプレイヤーにとって都合がよい。

もっとも、初心者が上級者とともにプレイし、そのスキルを学ぶことは重要であるので、そのような向上心のある初心者をフィルターやキックによって一般サーバーから締め出すのは適切ではない。
あくまで、プレイヤー側が任意に選択できる選択肢として、サーバーを複数用意するというスタンスが好ましいだろう。

公正さの確保

皆が快適にプレイするためには、迷惑プレイヤーやチーターへの対策も必要だ。チート対策としては、アンチチートツールの導入が一般的だ。QuakeシリーズやCoDシリーズで、採用されているpunkbusterや、Valve製のゲームで採用されているVACなどがチートツールとして有名である。TKer (チームキラー)やSpammer (チャットの乱発)などへの対応については、サーバー管理者への報告ができるように、メールアドレスやWebサイト上での報告フォームを用意しておくと理想である。

どうやってサーバーを建てる?

ゲームサーバーを建てるのは、実はそれほど難しいことではない。ゲームサーバーを建てるのに必要なものは以下の通りである。

サーバー用のソフトウェア

多くゲームでWindows用、または、Linux用のサーバー用ソフトウェアが用意されている。
そして、たいていの場合これらは、ゲームの開発元のサイトから無料で入手できる。
サーバーを常時稼働させた場合の安定性という観点からすれば、Linuxのほうがやや優れているものの、Windowsマシンでも十分にサーバーは運営できる。

下の写真はLeft4DeadのサーバーをValve社提供の、srcdsというサーバー用ソフトウェアを使ってWindowsで稼働させたものである。

サーバー

一般的にサーバー用ソフトウェアの外観として、CLI(コマンドラインインターフェース)を備えているものが多い。画面上(コンソール)に、キーボードを使って、”restart_map” 等のコマンドを、打ち込むことでサーバーを操作できる。また、サーバー上で何が起こっているかも、文字列で画面上に現れる。
Windowsユーザーにはあまり馴染みのないものかもしれないが、用いるコマンドの数はさほど多くないので、操作は意外と簡単である。

サーバー用のマシン

常時、安定してサーバーを稼働させるためにも、サーバー用のマシンを用意するのが理想である。サーバー運営に必要とされるスペックは、一般的にそのゲームを普通にプレイするのに必要なスペックよりも遙かに低い。

例えば、上のWindows用のL4Dサーバーを、Core2Duo E6600 メモリー2Gの環境で稼働させた場合、満員時でもCPU使用率2% もメモリー使用量 100MB程度であった。この程度の負荷であれば、一昔前のマシンをであっても、十分、サーバーを稼働させられるだろう。

常時接続が可能な回線

サーバーを運営するためには、常時安定して接続可能なインターネット回線が必要である。
もっとも、サーバーとプレイヤーとの間でやりとりする情報量はそれほど多くないので、回線が安定してさえすれば、帯域はそれほど大きくなくてもサーバーは建てられる。

ポート解放が可能なルーター

サーバーとプレイヤーは特定のポートを経由して、情報をやりとりする。通常ゲームサーバーでは、迅速性を重視するので、パケット量の小さいUDPという方式で通信する。
したがって、ゲームサーバーを稼働するためには、少なくとも、UDPポートを開放できるルーターが必要になる。
ポートの開放手順は、ルーターによって異なるものの、ルーターの設定画面を開き、「ポート開放」「ポートマッピング」「ポートフォワーディング」などの項目があれば設定できる。

以上がサーバー運営に必要なものである。
基本的には、サーバー用ソフトのインストールとポート開放、サーバーの設定用ファイル(コンフィグファイル)の記述、の手順でサーバーを建てることができる。コンフィグファイルとはサーバーの設定を記述しておくファイルのことで、テキストファイルに設定用のコマンドを記述したものである。

例えば、サーバーを起動後、コンソールに”maxplayers 8” と打ち込めば、プレイヤーの最大接続数を8人に設定できるが、サーバー起動時に毎回このコマンドを打ち込むのは面倒なので、コンフィグファイルの中に “maxplayers 8” とあらかじめ記入しておき、サーバー起動時にコンフィグファイルを読み込むことで設定を適用するのが普通である。複数のコマンドをあらかじめ記述しておけば、それらを一度に適用することが可能である。

以上がサーバーを建てる際の注意点および、サーバーの建て方の概略である。常時接続回線とサーバー用マシン、そして少しばかりのボランティア精神があれば、誰でも簡単にゲームサーバーを建てることができる。

最初にも述べたように、多くの海外製FPSでは、プレイヤーの遊び場は以上のような有志によるサードパーティーサーバーによって確保されている。コミュニティが発展するためには、十分な遊び場の確保が必要不可欠であるので、これらのサーバーの提供はコミュニティへの貢献として重要な意義がある。みなさんも是非、トライしてみてはいかがだろうか。


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