
第13回 クラン戦術 コミュニケーション 前編

今回はクラン戦におけるコミュニケーションについて取り上げたい。クラン戦はパブリックサーバーとは異なり、音声チャットを使った肉声でのコミュニケーションがメインとなる。音声チャットには細かい情報をリアルタイムに伝達できるという強みがある。しかし、一方で、情報を整理してから話さないと回線が混沌としてしまい、重要な情報が埋もれてしまう危険もある。必要な情報を簡潔に伝達できるようになるには練習が必要だ。今回は情報伝達のコツを伝授しよう。
準備:マップに地名をつけておく
位置情報は戦略上、最も重要な情報である。あらゆる出来事は位置情報とともに報告されて始めて意味を持つ。そこで、マップを戦略的な観点から分析して、要所に地名をつけることが重要となる。ゲームによっては、あらかじめマップに地名がついている場合もあるが、大雑把なものであることが多いため、細かく地名をつけ直す作業がいずれにせよ必要となろう。以下に地名をつける際のポイントを挙げる。
言いやすく、直感的にわかりやすい名前をつける
地名は言いやすく、直感的に場所をイメージしやすいことが重要である。あまり長すぎると喋るのに時間がとられてしまい効率が悪い。
簡潔でわかりやすいものがベストであるが、爆破ミッションの場合はA、Bそれぞれのサイトに関連づけて地名を付けると直感的にわかりやすくなるだろう。Aサイトがある倉庫なら、「A倉庫」、Bサイトにつながる廊下なら「B廊下」といった具合である。音声は前から順番に耳に飛び込んでくるわけだが、このような名前の付け方だと「A」と聞いた時点で、大体の方面がわかり、A方面に素早く注意を向けることができる。
「入口」と「出口」の名前の付け方を統一する
建物には出入口が複数ある場合が多いが、それぞれの出入口を「入口」と呼ぶか、「出口」と呼ぶかは、話者の進行方向によって相対的に変わってしまう。ある人が「入口」だと思っているものが、別の人にとって「出口」になってしまう場合があり、混乱を来す恐れがある。このような混乱を避けるためには、「攻撃チーム(テロリスト)の進行方向を基準に入口と出口を固定する」などのルールを決めておく必要がある。テロリストが入り込んでくるほうが入口で、テロリストが出てくるほうが出口という具合である。自分たちが守備側の場合は、「出口」を守備することになる。出入口の数が多くて、この方法でも管理しきれない場合は、出入口自体に、数字を割り当てるか、「北口」「南口」など絶対的な方向で命名すると良い。
作戦の要所やキャンプポイントは細かく名前をつけておく
キャンパーがよく潜んでいる物陰や、作戦上需要なポイントは細かく名前をつけておいたほうがよい。木箱の裏なら「木箱キャンプ」、ドラム缶の陰なら「ドラムキャンプ」等である。このようにキャンプポイントに地名を付けておくことで、キャンパーの情報を正確に伝達できる。また、日頃からこのようなキャンプポイントを意識することで、クリアリングの精度が上がるという副次的効果もある。どこが要所であるかは、クラン戦を重ねていけば自然とブラッシュアップされていくことだろう。必要に応じて名前を付けていけばよい。
以上が地名をつける際のポイントであるが、どういう地名がわかりやすいかは、クランメンバーそれぞれの感性によるところも大きいので、地名を考える際には、クランメンバー全員でマップの中を歩き回りながら、皆で話し合って決めるのが良いだろう。
音声チャットを使った報告の基本
重要な情報を先に持ってくる
日本語は述部が最後に来るため、重要な情報が最後まで話されないという特徴がある。一刻を争うクラン戦では、意識的に重要な情報を先に持ってきた方が有利である。語順が変わったり、助詞が抜けたりしても意味は通るので問題ない。守備側で敵の急襲(ラッシュ)を受けた場合などは特にスピードが要求される。報告者を「ダーマ君」として例を挙げよう。
- 例
- 「倉庫 ラッシュ! 敵4名。 ダーマ(報告者名)ダウン」
- 意味
- (倉庫に敵4名がラッシュしてきて、ダーマがやられた)
この場合、地名とラッシュがあることが分かれば、他のメンバーは援護に回るなり戦線を下げることができる。数秒の差で勝負が決まることがあるのでラッシュであることをまず先に伝えたい。
音声チャットのタイムラグに注意
音声チャットはソフトにもよるが、平均して2秒程度のタイムラグがある。音声チャットで「今だ!行け!」と言っても、メンバーに伝わるのは2秒後なのでズレが生じてしまい、一人で飛び出して行くことになりかねない。突入など作戦進行のタイミングは、ゲーム内の時計(残り時間)を使って合わせるようにしよう。スモークやグレネードを投げるタイミングはピンを抜く時間を基準に合わせるとよい。ラグのことを考えるならば、指示は早めに出す必要がある。2分に突入したいなら、2分になる10秒前くらいには指示を出しておくと余裕がある。
- 例
- 「2分10秒にA、Bチーム突入せよ」
- 「2分5秒、スモーク投入」 (2分5秒にピンを抜く)
方向を指示するときは、客観的な方法で
方向を指示するときは、極力、客観的な言い方を心がけたい。先にやられたメンバーがスペクテイター視点で残っているメンバーに指示することがあるが、このとき「右に敵だ!」とか、「後ろ!後ろ!」などと言ってしまうことが多い。先にも述べたように音声チャットにはタイムラグがあるので、2秒前に「右」であっても、メンバーが2秒間に動くことで、対象が左になったり、後ろになったりしてしまうことがある。メンバーに指示を出す場合、地名などと関連づけて客観的な方角が分かるようにしよう。東西南北で方角を指定する方法もあるが、コンパスを見ないとわかりづらいので、やはり地名で示すのが直感的でわかりやすいだろう。
- 例
- 「広場方面から敵が来るぞ!」
報告者の名前を入れる
音声チャットは場合によっては音質が悪く、誰が話しているかを声で識別しづらいこともある。誰が報告しているのか分かるように冒頭に自分の名前を入れてやるとよい。慣れるまでは、結構、恥ずかしいものだが勝利のためにはこれくらいのことで恥ずかしがっていてはいけない。
- 例
- 「ダーマ、A廊下よりAサイトに進行中」
音声チャットを使えない人がいる場合
メンバーの家庭環境等によっては、音声チャットが使えない場合もあるだろう。このようなメンバーが居る場合には、情報戦で引けをとらないために、工夫が必要となる。
メンバーには、ラジオチャットをうまく使って、戦況を伝えてもらうようにする。守備の場合は、「敵の気配あり」と「交戦中」の二つのラジオを使い分けて、戦況を報告してもらう。ただし、ラジオチャットが使えるのは生存中のみなので、当該メンバーが交戦中の合図を出した場合、手の空いたプレイヤーがTabキーでスコアボードを監視して生存状況を代わりに報告する。また、音声チャットを使えるプレイヤーが先にやられた場合は、スペクテイター視点で喋れないプレイヤーを見ることでその人の代わりに喋ってやることができる。攻撃の場合は、後方警戒などのシンプルな役割であればラジオチャットのみでも十分活躍できることだろう。
クラン戦術、コミュニケーション編の前半部はここまでである。以前の記事でもお伝えしたように「情報戦を制する者がクラン戦を制する」と言っても過言ではない。音声チャットを使いこなすのは、一見簡単なようで実は奥が深い。次回は守備と攻撃のそれぞれで音声チャットを活かすためのコツを紹介する。お楽しみに。
























