第12回 クラン戦術 攻撃編

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今回はクラン戦術のうち、いよいよ攻撃について考察する。
攻撃は独創性が重要であるので、あまり定型化して考えるのはよくないが、ある程度は類型的に戦術を分析することが可能だ。
基本視点を頭に置きながら、基本戦術をアレンジして自分なりの戦術を考えてみて欲しい。

基本視点

どのような作戦を考える際にも以下の2つのポイントを押さえておきたい。

まずは相手のバランスを崩すことから

筆者は以前、柔道九段の先生とお会いする機会があった際に、実際に柔道の技を掛けて頂いたことがある。
それまでまったく柔道の経験が無かった私は、相手を転ばせる時は、ひっかけた足に力を込めて相手の足を崩すものだと思っていたが、それは間違っていた。
実際は、上半身に回転の力を加えることで、相手の重心を崩し、それに乗じて相手を転ばせるのだということがわかった。ひっかけられた足は単なる支点に過ぎなかったのだ。
柔道では、先行動作としての「重心を崩す」過程が非常に重要であると知った。

FPSゲームの攻撃についても、これと同じことが言える。
相手チームは前回の守備編で紹介したようにキャンプ戦術などを用いて堅固な守りを築いていることだろう。
照準もあなたが出てくるポイントにしっかりと据えられている。このような守備に対して、何の先行動作も無しに正面から突っ込んでいけば、相手方が有利であることは言うまでもない。そこで、攻撃チームは物理的または精神的に相手に負担を掛けることで、相手の守りのバランスを崩すことをまず考えなければならない。

勝機を逃さない

相手のバランスを崩したならば、すかさず、その隙をついて攻撃を仕掛ける思い切りが必要だ。守備の場合は、相手が攻撃を仕掛けてくるのを待つという姿勢も重要だが、攻撃には勢いとテンポが欠かせない。隙を作っても相手に体勢を立て直す時間を与えてしまうと意味がないので注意しよう。

攻撃の戦術

一点突破戦術(戦力集中、一点同時攻撃)

一点突破戦術は、爆破ミッションにおける最も基本的な戦術である。戦力の数量的優位を活かして、相手の防衛ラインを点で攻めるのが特徴である。

この戦術をとるときは、数の利を最大限に活かすためにも、常に、味方複数人 vs 敵一人の状況を作るようにしたい。敵に立ち向かう時に、順次一人ずつ味方を繰り出していくのではなく、二人以上の味方を同時に繰り出さなければならない。

仮にあなたが、ある廊下の守備を任されたとしよう。敵はあなたが守っている経路に5人全員を投入してきた。だが、敵は1人ずつ廊下に飛び込んでくる。腕の良いスナイパーであるあなたは一人ずつ落ち着いて倒すことができる。敵の数こそ多いものの、あなたにとって敵は脅威ではない。
しかし、もし敵が5人同時に攻めてきたらどうだろう。スナイパーは同時に複数の敵を相手にできないので、あなたは負けてしまうことだろう。ここからわかることは、突入のタイミングを揃えることの重要性である。
タイミングの合わせ方だが、音声チャットはタイムラグがあるので、ゲーム内の時計で時間指定するのが確実である。

また、この戦術で気をつけるべきことは、攻撃開始からエリア制圧までを短時間で行うことである。
敵が攻撃に気づき、増援を集めてしまったら、数のうえで優位に立てなくなってしまう。さらに、この戦術ではチームのメンバー全員が一カ所に集まるので、周囲を敵に囲まれやすいという弱点がある。作戦行動中は全方位に気を配るようにしよう。

多点突破(戦力分散、多点同時攻撃)

多点突破はチームの戦力を2つ以上に分散して、複数の経路に攻撃を仕掛ける戦術である。敵の防衛ラインを面で攻めるのが特徴である。この戦術では、複数の経路に同時に攻撃を仕掛けることで相手の情報系統に負荷をかけ、さらに相手の戦力を分断させることを狙いとする。

具体例を挙げるならば、チームを3人と2人に分けて、それぞれがAとBに攻撃を仕掛ける。攻撃は同時に仕掛ける。同時に攻撃することで、守備チームの音声チャットを飛び交う情報量が増え、相手の情報系統や指揮系統に混乱を与えることができる。そして、仮にAサイト近くで、1人敵を倒し、相手のAの防御力を下げることに成功したならば、Bに1人を残して、チームの戦力をAに4人、Bに1人にシフトする。
敵はAの防御力をカバーするために動こうとするも、Bサイト付近に攻撃チームが1人残っているため迂闊に移動できなくなる。こうして、増援部隊の移動を遮断することも可能だ。

もちろん、このような戦力分散戦術には弱点もある。まず、数における優位性が無いため、戦闘を工夫しないと撃ち負けてしまうということだ。先にも述べたが、できるだけ2人同時ないし、3人同時の攻撃を心がけ、グレネードやスタンなどを上手く活用するようにしたい。
また、チームを2つ以上の分隊に分けるということは、自分たちの音声チャットもやはり混乱しやすくなるということだ。日頃から効率よく意思疎通を図る訓練をしておく必要がある。チームリーダーは、自分が属していない分隊も含めて、すべての戦闘状況を把握して的確な指示を出さなければならない。結局は、両チームとも厳しい状況に置かれることになるが、最終的には鍛錬の差が結果となって現れる。

なお、この戦術は広くマップ全体に人員が行き渡るのが特徴であるため、敵の守備配置やフォーメーションのシフトの仕方を探るのには持ってこいである。

囮作戦(戦力分散、多点遅延攻撃)

囮作戦はうえに述べた戦力分散戦術の1パターンである。囮部隊がある経路を攻め、敵の意識をそちらに向けさせている間に、本隊が手薄になった別の経路を攻めるという戦術である。

囮部隊はあくまで囮であるため、真剣に経路を攻略する必要はない。しかし、敵にはそう思いこませる必要がある。たとえば、攻撃メンバー2人をA側のルートへ囮として向かわせ、Aサイト付近で、派手にスモークやスタンを使いながら、本気でAに攻め込むような素振りを見せる。わざと足音や銃声を立ててもよい、また、できるだけ人数が多いように見せかけるのもコツである。ただ、あくまでフリをするだけなので、本気で交戦して倒されてしまわないように注意する。守備チームは多数の敵がAに攻め込んでくるものだと誤解し、Aに多くの守備人員を回そうとするだろう。

敵のフォーメーションが変化したタイミングで、Bサイト方面に隠れていた本隊が動き出し、移動中の敵を倒したり、防御が薄くなった経路をついてBサイトを制圧したりする。BサイトにC4設置後は、Aサイト付近の囮チームはAからBへ移動する守備チームの殲滅にあたる。

囮作戦は敵のフォーメーションに揺さぶりを掛けることを狙いとする。フォーメーションをシフトする際の隙をうまく崩せるように、分隊同士でタイミングを計るようにしたい。

その他のポイント

バックアタック警戒

どのような戦術で攻めるときも、敵に背後をとられないように注意したい。行動を共にするメンバーのうち、誰か一人は後方に注意を払うようにする。動きながらの攻撃を苦手とするメンバーや、入隊したて、あるいは練習に参加できないなどの理由で複雑な作戦行動を覚えていないメンバーでも、バックアタックの警戒なら担当することができる。地味ではあるが実は非常に重要な役割である。

サイト制圧後は守備に転じる

サイトを制圧してC4を設置したあとは、素早く頭を切り換えて守備の体制を整えなければならない。各自、どこの経路を守っているかを音声チャットで報告し、リーダーは頭の中で経路に漏れがないかをチェックしよう。C4を設置する人は守りやすいポイントに設置するように工夫したい。また、C4設置後は定期的にC4が安全であることをかけ声で確認するようにする。

攻撃の戦術を考える際には常に相手の立場にたつことが必要だ。敵メンバーや敵チームが何を考えているか、その心の動きに注目して、機敏に対応を変えていくことが必要だ。
練習段階ではパターンを決めて動き方の練習をするのもよいが、実戦では、その型を忘れてしまうくらいの大胆さが必要だ。
型を決めておくのは、意思疎通の時間を短縮するためである。ある攻撃パターンに名前をつけておけば、現場でその型をベースにアレンジを加えることができる。

今回の講義は以上である。次回は、「クラン戦術 コミュニケーション編」をお送りする。おたのしみに!


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