クランお悩み相談室:第12回「クランメンバーが他のタイトルを大プッシュ……だけど」

第12回「クランメンバーが他のタイトルを大プッシュ……だけど」
オンラインゲームにおけるクラン運営に関連するさまざまな悩みに答えていく「松井先生のクランお悩み相談室」。
World Cyber Games日本予選プロデュースをはじめ、様々なe-sportsイベントに携わり、自身もオンラインゲームのクランを運営している株式会社グルーブシンクの松井悠が皆さんのご相談にお答えしていきます。第12回目はメンバーがゲームの移行を持ちかけてきたクランでのお話です。

ゲームを移りたい、というメンバーに対して、仲間たちがとるべき道は……。

さて、今回のご相談は、今遊んでいるゲームから別のゲームに移りたい、というメンバーさんについてです。
ですが、トロピコマスターさをはじめ他のメンバーさんの意見は少し違うようで、それに業を煮やした方が、ついに、クラン結成のきっかけとなったゲームの文句を言い出してしまう、ということだそうです。

クランマスターさんから、新しいゲームに移行をもちかけるタイミングや方法については、第6回であびげいるさんから相談を受けた「メインでプレイするゲームをチェンジするタイミングと方法(http://www.dharmapoint.com/onayami_soudansitu/6)」についてをご覧いただくとして、今回はトロピコマスターさんのケースについて、お話ししていきましょう。

好きなゲーム、だからこそ……。

「面白いゲームだから、気心の知れた仲間達と遊びたい」。その気持ちは友達と一緒にゲームを遊んでいる人たちなら、理解できますよね。特に、新しいゲームとあらば、その気持ちはさらに強くなるというものです。ですから、「新しいゲームに移行しようぜ」というトロピコマスターさんのクランメンバーの方の気持ちはわかります。もちろん、「自分たちが出会ったきっかけとなるゲームのことをけなしてもらいたくない」というトロピコマスターさんの気持ちも、よくわかります。

日本だけでも数え切れないほどのタイトルでサービスが行われているオンラインゲーム。多くのプレイヤーがいる中で、プレイする時間帯を含めた環境が一緒で、さらに気が合う仲間と出会えるというのは、トロピコマスターさんの言うとおり「奇跡」なのですから、その出会いといいますか、ご縁を大事にしたいですよね。

ただ、過去の連載で私が何度も繰り返していますが、報酬やそれにともなう義務が発生していない限り、どんなゲームを遊ぶのもそれはその人の自由です。ですから、クランを抜けて、新しいゲームに移ろう、ということも、その人の自由になりますし、今のままのゲームを遊び続けたい、という気持ちを持つのもその人の自由なのです。

第6回でもお話をしましたが、新しいゲームをメンバーに勧めるときは、その人がエバンジェリスト(伝道師)になるべきだ、と私は考えています(記事内では、クランリーダーが、といっていますが、これはメンバーが持ちかけるときでも同様です)。
今回の一件で、ゲームの移動を持ちかけてきたクランメンバーさんに足りなかったことがあるとすれば、「新しいゲームの魅力を他のメンバーに伝える努力」です。トロピコマスターさんをはじめ、その他のメンバーさんや、クランマスターさんの心を動かすことができなかったわけですから……。

個人的にひっかかったのは「好きなことで遊んでいる仲間をけなす」というメンバーさんの行動です。誰だって、自分の好きなものを否定されるのは、気分のいいことじゃありませんよね。それは、クラン設立のきっかけとなった思い入れのあるタイトルだったら、なおさらです。ゲームをやっていると、時折その鬱屈した愛情から「なんだこのクソゲー!」なんて叫びたくなってしまうこともありますが、それとは別のお話ですよね。時代遅れだろうが、過疎っていようが、そのゲームに愛があれば、そんなことは関係ないんです。

「せっかくだから、もう少し一緒に?」、それとも「これを機会に考え直す時期?」

さて、トロピコマスターさんのお悩みについてですが、解決方法は大きく2つあります。

ひとつ目は、「この縁を大事にする」という考え方。せっかく出会ったクランメンバーなのだから、ここで途切れることなく、ものは試しにタイトルを移動してみる、あるいは残りのメンバーで移行を思いとどまってもらう。とにもかくにも、「一緒にいることが大事なんだ」という考え方ですね。

もうひとつは、「これを機会にクランの形を考え直す」。端的に言ってしまうと、「別のタイトルに行くのならどうぞ」と割り切る考え方です。当然ながらクランメンバーたちにも実社会での生活がありますから、今回のようなタイトルの移行をはじめ、様々な理由で一緒にゲームができなくなる、ということはままあることです。

クランを持続させていくのは、作り上げるときの勢いと違って、モチベーションとたゆまぬ人間関係の構築が必要です。そこで、どういうアプローチをとっていくのかをある程度の指針として考えておくのも悪くはありません。もちろん、それを決めるのは、トロピコマスターさんだけではありません。こういった大きなトピックについてはクラン全員で話し合いの場を持つことが大事です。

ただ、今回のようなケースでは、移行を持ちかけるメンバーさんを交えていきなり話し合いをしようとしても、現状と同じ流れになってしまうでしょうから、せめて、トロピコマスターさんと、クランリーダーさんの間で、「これからどうするか」を相談してみるといいでしょう。そして、移行をもちかけるメンバーさんとお話をする際は、トロピコマスターさんの正直な気持ちをぶつけてみるといいでしょう。手練手管を弄しようとしても、うまくいくことはないでしょうから……。

なんだか恋愛相談のような話になってしまいましたが、ご参考になれば幸いです。最後に、個人的な感想ではありますが、せっかくおこった奇跡ですから、もう少し長く続いてくれるといいですね。これからもがんばってください。

松井悠(まつい・ゆう)

株式会社グルーブシンク代表取締役。某対戦格闘ゲーム日本一になった後、ゲームイベントやクラブイベントの運営を多数行い、現在は世界最大のe-sportsイベントWorld Cyber Gamesや、International E-sports Festivalの日本プロデューサーを務める。日本におけるe-sportsの可能性を模索するため、IGDA日本デジタルゲーム競技研究会を発足した。なお、自身も2003年より、オンラインゲームクラン「teamStrayDogs」を立ち上げ、現在も様々なゲームで活動を行っている。

告知

松井先生が主催している「ゲームが好きなありとあらゆるヒトのための持ち込みゲームイベント」ゲーマーズラウンジが今週末に開催されます。詳しい情報はこちら! http://www.s-dogs.jp/glounge/index.html

■野良犬雑記
http://d.hatena.ne.jp/Y_Matsui/

■IGDA日本デジタルゲーム競技研究会
http://igdajapan-esports.blogspot.com/

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