
徹底的にリアルにこだわった地上戦シミュレーター『Red Orchestra』

『Red Orchestra: Ostfront 41-45 (以下 RO)』はTripwire Interactive 社によって開発され2006年に発売された、第2次世界大戦における1941年から1945年にかけてナチスドイツとソビエト連邦との間で戦われた、いわゆる独ソ線を再現したFPSゲームだ。
当時の歩兵戦を徹底的にリアルに再現することを目指し、ゲーム性を損なうギリギリまでリアルにこだわったゲームだ。
「地上戦シミュレーター」とも言えるほどで、当時の膨大な東部戦線に関する情報をもとに作られたRed OrchestraはFPSゲームの中である意味もっとも玄人好みのFPSゲームといえるだろう。
ゲーム性を高めていくと戦争のかっこよさを表現し美化につながる恐れがあるが、本作では逆にリアルを追求することで内容を知れば知るほど「ゲームでよかった・・・」と考えさせられる点も多く、人間の弱さや戦争の悲惨さを感じることができる。
小銃1つで戦場に放り出され、戦車がうなりを上げて自分の横を通り過ぎていく、大地を揺るがす砲兵の遠距離砲撃、マシンガンの曳光弾が飛び交う、まさにそこは戦場だ。
ライフルは一発撃つ毎に手動でボルト操作を行う。発射された弾丸は弾道計算されまっすぐ飛ばないため、目標までの距離・スピードを考慮するいわゆる見越し射撃を行う必要があり、“狙って撃つ”という射撃本来の動作をリアルに再現している。
通常FPSゲームは弾道計算などを行わないが故に相手にヘアクロスを合わせクリックするだけで命中するため、スナイパーライフルをはじめとした銃器類が非常に強力になりゲームバランスを崩す可能性もあるが、本来、狙撃兵は距離による影響を計算した上で敵を倒す戦場の職人的な存在だ。
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遠距離狙撃は計算して撃たなければ当たらないぞ。 |
ゲームのこだわりを上げていけばキリがないが、かといってガチガチなリアル指向でゲーム性を損なうかといえばそうでもなく、ゲームとして成立するギリギリのバランスが取られているため、ある程度の軍事的知識をもった方であれば第2次世界大戦、それも独ソ線(泣)に造詣の深い方は涙もので楽しめるゲームであることは間違いない。
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グリーンで一見レーザーのように見えるが、ソ連軍の曳光弾のリアルな表現だ。 |
ゲームシステム
ゲームのシステムはお互いを全滅させるか広大なマップ各所に設置された目標エリアを双方の軍が取り合う(キャプチャー)ことで勝敗を決する。
目標エリアを奪取するためには規定の時間、その地域を実効支配する必要があり、これは味方の人数が多いほど速くキャプチャーすることができる。
戦場で登場するのは基本的に歩兵と戦車を含めた車両のみで、東部戦前をリアルに再現している。以下順を追って解説していこう。
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最初に作戦目標とマップが掲示される。このマップはいつでも見ることができる。戦況を把握するために都度確認していこう。 |
■戦場の要、歩兵■
戦場の要、歩兵の役目は目標エリアの占領確保だ。狙撃兵を含め機関銃手、対戦車猟兵などいくつかの兵科があるが、ここでは一般兵士であるライフルマンについて解説していこう。
まず当たり前のことだが、歩兵は生身の人間なので非常に弱い。
当たり所が悪ければほぼ即死、銃弾をよけるためにジャンプするなど言語道断。
重い荷物を抱えているため、ダッシュしてもすぐに息切れを起こす。
そのため、掩蔽物の位置を確認し速やかに移動し伏せるなど状況を素早く判断することが要求される。
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インフォメーションは体の状況と残りマガジンの数だけの硬派仕様だ。自分の銃にあと何発残っているかは自分で計算しないといけないぞ。 |
射撃に関しては先述したように、銃それぞれが発射された弾丸の弾道計算を行っているので、対象の距離とスピードによって目標のやや先を狙うなどの見越し射撃のテクニックが要求される。またこれらは現実同様、強力な銃ほど距離による弾道落下の影響を受けにくい。
当時軍用として使用されていた一般的なボルトアクションライフルは、発射するごとにボルトを操作し再装填を行う必要があるが、本作品でもこれを再現しており、左クリック発射→左クリック排莢・再装填という動作が必要になり、さらに画面中央に表示されるヘアクロスなど存在しないため、自然と右クリックでアイアンサイトに切替えた上で狙いをつける必要がある。
そのため距離による影響や再装填の手間などから、一発を狙って撃つロングレンジでの撃ち合いが必然と多くなる。これに対して連射が可能なオートマチックライフルや接近戦で弾丸をばらまくサブマシンガンの恐ろしさが引き立つようになっており、当時の銃器特性を忠実に再現することによって、第2次大戦当時の東部戦線の状況をシュミレートすることに成功している。
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右クリックでアイアンサイト、左クリックで射撃だ。 |
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射撃後は手動で排莢する必要がある。もう一度左クリックだ。 |
本作ではアイアンサイトを狙って時間がたつと、腕が疲れて照準が揺れ始めてくる。リアルな表現だが、このような銃の揺れを防止するために本作では実際の射撃と同じように、委託射撃と言われる銃を他の物体に預けることでブレを防止するテクニックが活用できる。
ちょっとした段差や壁、設置された土嚢など委託射撃ができるポイントは戦場にはいくらでもある。この委託射撃のテクニックを覚えるだけで命中率は大幅にアップするだろう。
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画面右にこの委託射撃マークがでれば銃のブレがなくなるぞ。 |
強力な機関銃などは腰ダメで撃ってしまうと反動が大きく使い物にならないため、基本委託射撃を行うことを前提にされている、これらの銃器はバイポッドを展開することで同様の効果が得られることも覚えておくといいだろう。
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バイポッドを展開すれば機関銃も安定した射撃が可能だ。 |
もし至近距離での撃ち合いで初弾が外れた場合は、すぐに白兵戦に突入だ。ピストルに切替えたいところだが、当時の軍事状況では、兵科にもよるが一般下級兵はピストルを装備していないのが常であり、白兵戦となった場合は、小銃の台尻や小銃に設置された銃剣による突撃が基本的戦法となるので突撃前には小銃に着剣しておくことを忘れないようにしよう。
さらにダッシュしながら攻撃することでこれらの攻撃力が上乗せされまさに突撃ということになる。
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着剣して白兵戦に備えよう。 |
■戦場の花形 戦車■
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戦車兵となって戦車に乗り込め! |
本作では地上戦の花形である戦車を含めた車両が登場するマップが複数ある、完全な戦車戦マップではまったく異なるゲームのように感じられるほどなので戸惑う方も多いだろう。
まずあらかじめ述べておくとバトルフィールドなどのFPSゲームと異なり、戦車は一人では操縦することは困難だ。
できないこともないが操縦士・砲手と一人二役をこなさなければならず、移動と射撃を同時におこなうことができないため結局は鉄の棺桶となる。理想は戦車長(砲手)、操縦手、機銃手の3人で運用することだ。
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戦車内部のディテールもバッチリだ。 |
一見すると戦車長が主砲も撃ててもっとも華やかに見えるが、実はそうでもない。当然、主砲である戦車砲も他の銃器と同じく重力と慣性の影響を受けるため、敵との距離を正確に掴み偏差射撃を行う必要がある上に、この時期の戦車の性能からいえば走行しつつ敵戦車に命中させるのはほぼ不可能といっていい。
そのため敵戦車に対峙したときの自車の装甲面を敵にどう相対させるか(そう!本作では、装甲の概念があるのだ!)、どの位置で攻撃を行うか等、操縦手の腕前如何で戦車の運用効率は大きく変わることになる。厳しいことを言ってしまえば、操縦手としてのノウハウがなければ戦車長(砲手)として敵を撃破することなど到底できないことになる。
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砲弾が飛んでいくのが目視できる。 |
本作では戦車ファンなら涙を流す『避弾経始』についても再現されおり、戦車戦についてのこだわりが伺える。避弾経始と言われてもピンとこない読者も多いだろうと思うので簡単に解説すると、発射された砲弾は基本的に装甲板に対して垂直・水平方向とも直角に命中すれば貫通力は最大となるが、装甲を斜めに構えることで実質の装甲厚より防御力を増加させることができる概念だ。

これら装甲厚と傾斜角が大きい面ほど敵の砲弾が貫通しにくい現象を『避弾経始』といい、これらの概念を当時のティーガー戦車における乗員向け教本「ティーガー・フィーベル」で戦車の交戦姿勢として「食事時の角度」という例えでわかりやすく解説されている。
曰く「交戦する場合は10時半、1時半、4時半、7時半のいずれかの方向に車体前面を向けておくこと」、そしてこの4つの時刻はそれぞれ朝食、昼食、コーヒーブレイク、夕食に相当することから「食事時の角度」と言われている。
その他、地形を利用することで車体を隠し砲塔のみ露出させるハルダウンと言われるテクニックなど、本作ではこれら実際の戦車戦ノウハウがそのまま使用でき、戦車戦に関する知識の差によって戦車が鉄の棺桶になるか、陸戦の王者となるか明暗を分けることになる。
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ハッチを開けて索敵することもできるが敵の狙撃兵に気をつけろ。 |
以上、ライフルマンと戦場の花形である戦車を中心に解説したが、本作のこだわりは機関銃のオーバーヒートによる銃身交換や砲撃による恐怖心での目のかすみの再現など多岐にわたり、とても短い紙面では語りつくせない魅力にあふれている。
前述した戦車における「食事時の角度」などマニアックな本作の魅力をさらに知るには、Red Orchestraの魅力に取り憑かれたファンによる国内ファンサイトを訪問してみることをお勧めする。彼らは必ずや君ら同志諸君を暖かく迎えてくれるだろう。
国内ファンサイト
Red Orchestra J
http://dod.xrea.jp/_ro/index.html
RedOrchestra:Ostfront 41-45 PukiWiki
http://roowiki.s192.xrea.com/
Red Orchestra: Ostfront 41-45の購入について
パッケージ版も販売されているが現在なら約15ドルと価格もこなれているため、Steamを通じてのダウンロード販売のほうが入手しやすいだろう。
Steamって何?と言われる方はこちらへ
http://www.steampowered.com/steamtour/?l=japanese
システム要件
最低要件:1.2 GHz 以上のプロセッサ、512MB 以上の RAM、DirectX 9 レベルのグラフィックカード(1024x768)、Windows 2000/XP/ME/98、マウス、キーボード、インターネット接続、DirectX 9.0c
推奨要件:2.4 GHz 以上のプロセッサ、1024MB 以上の RAM、DirectX 9 対応のグラフィックカード(1024x768)、Windows 2000/XP/ME/98、マウス、キーボード、インターネット接続、DirectX 9.0c
関連URL
Red Orchestra: Ostfront 41-45 公式サイト
http://www.redorchestragame.com/
公式サイトでは各車両の仔細なデータシートも公開されている。
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最後に余談だが・・・
東部戦線と戦車戦についてはホビージャパン誌で連載した戦場劇画の金字塔的作品である小林源文氏の「黒騎士物語」の熟読をお勧めしたい。独ソ戦車戦の魅力を余すところなく表現した名作だ。 |
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